「maneo、監視委が処分勧告 流用額10億円以上」
日経新聞のニュースのタイトルです。maneoはソーシャルレンディング業界の中でも最大手・古参で今回の事件のインパクトはかなり大きかったと思います。
ただ凄い誤解を招くタイトルだと思ってて別にmaneoが資金流用したわけではないんですよね。
今回の事件のまとめ、思うことについてまとめました。
maneoマーケットとグリーンインフラレンディングの関係
今回の件はmaneoマーケット社とグリーンにフラレンディング社周りの関係性が重要になります。
まずソーシャルレンディングとはソーシャルレンディング事業者が投資家からお金を集め、融資を受けたい企業にお金を貸して利子つけて返すことで利益を得る業界です。(利子の一部が投資家に分配される)
投資家→ソーシャルレンディング事業者→融資を受ける企業
このような関係になっています。ただ今回のmaneoマーケットの場合は以下の構図になっています。
投資家→maneoマーケット社→グリーンインフラレンディング社→融資を受ける企業
maneoマーケット社の中に複数のソーシャルレンディング事業者が加盟していて、その1つにグリーンインフラレンディングがあります。
なのである意味投資家はmaneoに投資しているけど、maneoはグリーンインフラレンディング(のファンド)に投資しているようなものです。
maneoの処分勧告の内容
今回の内容は
「maneoマーケットに属する(maneoのサイトに案件を乗っけている)ソーシャルレンディング事業者の1つグリーンインフラレンディング社。社の募集ファンドの1つが事前説明とは異なる資金流用をしていた。そのため証券取引等監視委員会がmaneoマーケットを行政処分するよう金融庁に勧告した。」
というものです。流用額は少なくとも10億円以上と言われています。
ポイントは
- maneoマーケットが資金流用をしていたわけではない
- グリーンインフラレンディングが資金流用をしていたわけではない
- 融資を受ける企業が資金流用した疑い
- 監視委が問題視したのは「グリーンインフラレンディング社」が融資先の多額の不正流用を見過ごした事実
- そしてグリーンインフラレンディング社の資金管理・使途の実態を把握する義務があるのはmaneo社
- なので行政処分を受ける可能性があるのはmaneo社
ぶっちゃけmaneo、とばっちりじゃね?って感じです。もちろん事業内容を把握する・審査する必要があるのは間違いないですがソーシャルレンディング業界は事業内容匿名性保証があるのと説明した内容と違うことされた(少なくとも事前説明に合理性はあったものと思われる)ら回避できないです。
悪いのはmaneoマーケットorグリーンにフラレンディングor融資先企業なのか
日経新聞のニュースの見出しは「maneo、監視委が処分勧告 流用額10億円以上」という一見「maneoが資金流用した」と見えるものです。
が実際は
「グリーンインフラレンディング」におけるファンドの募集開始にあたり、弊社は、グリーンインフラレンディング社より、「投資家の皆様から出資いただいた資金は、グリーンインフラレンディング社の融資先を介して最終資金需要者が特定の太陽光発電所やバイオマス発電所等の開発資金として使用する」との説明を受けるなどして、その旨認識し、投資家の皆様にもご説明して参りました。
しかし、最終資金需要者において上記説明とは異なる使途に一部資金が使用された疑いがあることが判明いたしました。これを受けて、弊社は、かかる疑いのある対象ファンドの新規募集を停止した上で、最終資金需要者の認識や見解について説明を受け、事実関係
の確認を実施いたしました。その結果、大変遺憾ながら、グリーンインフラレンディング社から弊社が説明を受け、投資家の皆様にご説明申し上げていた使途とは異なる使途に一部資金が使用されたものと評価せざるを得ないとの判断に至りました。
「グリーンインフラレンディング」における今後のファンドの募集は停止させて頂きます。
Q.maneoマーケット社やグリーンインフラレンディング社が投資家の資金を流用したというような報道もありますが、事実ですか。
A.maneoマーケット社やグリーンインフラレンディング社が資金を流用したとの事実はございません。
「最終資金需要者において上記説明とは異なる使途に一部資金が使用された疑いがあることが判明いたしました」とある通りmaneoマーケットが資金流用したわけではありません。
監督責任はあると思いますがmaneoに非はないと考えます。
グリーンインフラレンディングも似たもので監督責任があるけど非はないのかなーと(ただ直接融資先とやり取りしてたグリーンインフラレンディング社はホントは知ってたんじゃないの?って考えはありますが)
で融資先企業はというと事前説明と異なる資金使用をしていたのは多分間違いないです。
北海道での太陽光発電やスリランカでの水力発電事業への融資名目で年利11~14%で投資家を募集。3084人から約130億円を集め同社に仲介した。だが実際には同社はグループ会社の増資など事前の説明と異なる目的に集めた資金を流用していた。
今回の事件、及び他のソーシャルレンディング事業者の行政処分が起こったのは「匿名性」にも問題があるのではないか
ソーシャルレンディングでは融資先の社名や具体的な事業内容は伏せられていたり、匿名企業2社以上かでないとファンドを組めない仕組みになっています。
これは融資先が社名や事業内容から身元がバレて万が一貸し倒れなどが起こった時に投資家が直接融資先に問い合わせや押しかけたりする可能性があり、そうなるとかえって回収などに支障がでるためです。
「匿名性」の保証が強い業界です。
ただ実際は2社以上と言っても1社は融資額5万円みたいな「本命はA社なんだけど依代としてB社も用意したよ(B社の融資額は5万)」事になっていて抜け道的運用になっています。
結局ファンドの匿名性を保証することで投資の健全性を失っているのでは?匿名性なくせみたいな論調もあるくらいです。
で今回の事件。
匿名性なければグリーンインフラレンディングはともかくmaneoは見抜けたのでは?と思います。
業界最大手のmaneoの処分勧告という今回の事件のインパクト
自分の中では「グリーンにフラレンディングは別として少なくともmaneoの行政処分はとばっちり」だと思ってます。
またmaneo自体の信頼性が揺らぐものではなかったとの認識です。
が、素人目に見ればmaneoが資金流用した、ソーシャルレンディングやばい
というイメージが付き、ソーシャルレンディングの発展に一石投じたのは間違いないです。
周りでも「maenoってイケハヤ(イケダハヤト氏)が勧めてたアレでしょ?maneoダメじゃん」みたいな風潮が出てて一般の人からは「maneoがヤバイ」と思われてます。
ただソーシャルレンディングをちゃんとやってる人からは
「maneoマーケットの中にグリーンにフラレンディングがいて、maneoが資金流用してないのはもちろん、グリーンインフラレンディング側の資金流用したわけでもないです。
融資先の企業の問題。」
があったことは理解しているのでソーシャルレンディングがなくなるとかはないと思う。
むしろ今回の1件で「匿名性の問題」が顕在化するといいなーと思います。