不動産を売却する場合、購入時と同く不動産会社に売却活動を依頼します。
ただし買う時とは違って、自分が欲したタイミングで売れるわけではありません。
適切かつ納得した価格で売るためには、どうすればいいのかを見ていきましょう。
- 不動産物件の相場を調べる・不動産会社に査定を依頼する
- 売却活動の仲介不動産会社を決める
- 不動産情報サイトへ掲載・内覧の対応
- 購入申し込みの対応(契約と重要事項説明)
- 重要事項説明後~物件の引き渡し
売却時の流れはざっくり上記のとおりです。
1.不動産物件の相場を調べる・不動産会社に査定を依頼する
売却前に不動産物件の相場を知りましょう。物件の相場を把握するにはいくつかの方法があります。
- 不動産情報サイト(SUUMOやAthome)
- 国土交通省の「不動産取引情報価格検索」
- ネットの自動査定審査
- 不動産一括査定サイト
不動産情報サイト(SUUMOやAthome)
不動産情報サイトのSUUMOやAthomeなどを使えば自分の所有物件と似た条件の物件を探せます。ただ全く同じ立地で広さなど完全に条件が合致するケースはまれです。
見つからない場合同じ駅の物件で面積が違うものを探して、面積当たりの単価で価格を算出してみたり、同じような築年数の家を探して比較してみると良いでしょう。
国土交通省の「不動産取引情報価格検索」
国土交通省の「不動産取引情報価格検索」というサイトからデータベースを確認できます。
上記のサイトでは土地の売買記録しか見ることはできませんが、過去の取引事例を参考にできます。
ネットの自動査定審査
最近ではビッグデータを収集し、AIで自動査定をしてくれるサイトもあります。自分の物件の情報を入力し自動査定審査してもらうのも良いでしょう。
不動産一括査定サイト
前述のサイトで情報収集をして不動産会社へ査定を申し込むことができますが、実は1番手軽に依頼できる方法があります。
それが「不動産一括査定サイト」です。
不動産一括査定サイトでは、自分の物件の土地や建物の築年数などの条件を入れるだけで、色々な不動産会社が見積もりを出してくれます。メールや電話でやりとりでき、直接不動産会社まで行く必要がありません。
一括査定サイトの不動産会社が提示してきた売却価格と自身がネットの調査で把握した相場観を比較し、どの不動産会社を選ぶか決めていきます。
一括査定サイトに査定を依頼してから価格が提示されるまで一週間程度かかります。
不動産一括査定サイトのメリットは複数比較できるため最も高く売れる会社を選びやすいのがポイントです。1社だけだと提示された値段が実は相場より高くても判断が難しいですが、複数比較できれば価格面の差は一目瞭然です。
仮に自分で複数の会社に査定を依頼するとそれだけで大変な手間です。1回で全社に依頼できるのもメリットですね。
2.売却活動の仲介不動産会社を決める
不動産会社が提示した査定価格を見て実際に売却を任せる不動産会社を選びます。
ここで注意するのは、高い価格を提示した不動産会社が必ずしも良い会社とは限らないことです。不動産会社の提示価格はあくまで査定であり、その価格で必ず売れるわけではありません。
買主の需要と一致していないこともあります。高い提示金額を出してくれればその価格で売ってくれると勘違いしてしまう人もいますが、そんな保証は全くないのです。
なぜその価格をつけたのか根拠を持って説明してくれる営業マンの方が信頼できるでしょう。また自分の要望や不安を素直に伝えられる、話しやすく相性の良い営業マンの方が選びましょう。後から「こう言っておけばよかった」と公開することもなくなります。
売却時の不動産会社との契約の種類
販売を任せる不動産会社を決めたら、次は契約の種類を選びます。契約には三つの種類があります。
- 一般媒介契約→複数の不動産会社に売却活動を依頼
- 専任媒介契約→一社のみに売却活動を依頼。かつ、自分で購入希望者を探すことが可能
- 専属専任媒介契約→一社のみに売却活動を依頼。ただし、自分で購入希望者を探すことは不可
この中で最もよく使われるのは専任媒介契約です。一般媒介契約は多くの会社が売却活動をしてくれるため一見便利に思えますが、不動産会社の対応優先度が下がる可能性があります。
売却活動に励んでも他社で決まる可能性が最初から見えていて、営業活動が無駄に終わるなら他社に任せてしまえ、という会社も。
専任媒介契約を結べれば、自社のみが対応することが確定し、営業活動が無駄に終わることがないので、営業マンも本腰を入れてしっかりと売買活動売却活動に励んでくれます。
また専任媒介契約と専属専任媒介契約は適宜、売却活動の現状報告義務があります。不動産会社はじっくりと2週間から1ヶ月ほどかけて決めても良いです。
3.不動産情報サイトへ掲載・内覧の対応
売却活動を依頼する不動産会社を決めたら、不動産会社と相談し価格と条件を決めます。購入者希望者はほぼ値下げ要求するので、予め価格に関して値下げ限度のラインを決めましょう。
不動産会社が売却活動に入ったらまずレインズという不動産関連業者専門のサイトに情報が掲載されます。
間取り図の作成や物件の写真撮影は不動産会社が行いますが、自分で行うことも可能です。その後は大手の不動産情報サイトにも物件情報が掲載されていきます。
契約後一週間ほどで物件情報は掲載されるはずです。
不動産物件掲載後の内覧希望について
土地だけでなく住宅を売る場合は購入希望者からの内覧の対応が必要です。
自宅を売る場合は家の中は必ず整理整頓にしておきましょう。いらないものは予め捨てて家の中もスッキリ広く見えるようにします。
また内覧時の対応は一般的な一家の主人である男性よりも、女性である奥さんが対応した方がいいと言われています。対応する際には女性の方が購入希望者も威圧感を感じにくく、質問がしやすいのです。
内覧で聞かれることは不動産会社にアドバイスをもらい回答を用意しておきましょう。もちろん内覧時に不動産会社の担当マンに同席してもらっても良いです。
掲載から早ければ1週間、適切な価格設定をしていれば1ヶ月以内には内覧希望があるでしょう。
【その他】不動産物件が中々売れない時の対応
売りに出しても当然ながらすぐ売れるとは限りません。価格が高ければ高いほど売れるまでの時間がかかると思った方が良いでしょう。
売りに出してから1ヶ月たっても内覧希望などの反応がない場合は売るための対策を考える必要があります。
価格の見直し
内覧希望が全くないという場合は価格を見て「これはない」と思われています。自分の都合で価格を決めるのではなく、周辺の相場を参考にしながら価格を見直しましょう。
契約を見直す
不動産会社がしっかりと活動してくれてない可能性もあります。専任媒介契約を結ぶと売上を確保できたと思い込んで売却活動をサボる会社もあるのです。
不動産会社の担当者を呼んではっぱをかけ、他の会社に切り替えますよと言っても良いですし、一般媒介契約ならば専任媒介契約に切り替えましょう。
オープンハウスを行う
オープンハウスとは売り主希望のもと、不動産会社にカギを預け、購入希望社が予約不要で内覧を自由にできる状態にすることを言います。
予約不要なので、内覧したいがじっくり、気軽に見たいという人を呼び込めます。複数の顧客が同時に内覧に来ることで、競争意識が生まれることもあります。
不動産会社の協力が必要ですが、売るための効果はかなり高いです。
週末など休みの人が多い時に看板を出して、近隣の人間にこの家の内覧ができますよとアピールしましょう。
ハウスクリーニングをする
内覧があるのにそこで決まらない場合は、家を見て「なんかイメージと違うな」と思われてことも。
そこで家の中のイメージが良くなるように、ハウスクリーニングを依頼して、キッチンや風呂場を徹底的に綺麗にします。そうすればその家で生活をしたときの良いイメージが生まれやすいでしょう。
4.購入申し込みの対応(契約と重要事項説明)
売却活動から申し込みがあった場合は、手続きに入ります。基本的には全て不動産会社に任せられるので、自分は必要な書類などを揃えておきましょう。
必要な書類には以下の様なものがあります。
- 身分証明書
- 実印
- 印鑑証明書
- 住民票
自分の身分を証明します。
- 登記済権利書
- 固定資産税納税通知書
税額の確定や登記に使います
- 土地測量図
- 境界確認書
- 建築設計図書
- 工事記録書
建物の図面、土地の測量図など物件情報に関する書類です。
- マンションの管理規約に関する書類
- 積立修繕金に関する書類
マンションを売却する時に必要になってきます。
必ず全てが必要というわけではなく、場合によってはここに挙げたもの以外に住宅の性能を証明する書類なども必要になってきます。不動産屋に聞けば入手方法は教えてもらえます。
自分の転居先が決まっていない場合は新居探しも開始しておきましょう。
不動産物件の指値交渉について
購入希望者から指値交渉が来ることがあります。要は「いくらまで下げてきたら買う」という価格交渉ですね。むしろ価格交渉は大体あります。
直接自分が交渉に応じる必要はありませんが、不動産会社から指値価格を聞いたらギリギリ下げられる価格ラインを決めて伝えましょう。
価格交渉に応じた上で相手も購入の意思を見せできたら、物件情報を不動産経由で開示します。その内容を見て買主の購入意思が固まったら、重要事項説明に入ります。重要事項説明を行えば、ローン融資に失敗しない限り、売却は決定したも当然でしょう。
重要事項説明時には仲介手数料の半額を不動産会社に支払います。
そして手付金として売却価格の1割を買主から受け取ります。買主の都合でキャンセルが入った場合は、手付金は返却する必要がありません。
ただし当方都合で重要事項説明の後にキャンセルをした場合は、買主への慰謝料分も含めて返却しなければいけません。
購入意思の提示から重要事項説明までは2週間~1ヶ月程度でしょう。
5.重要事項説明後~物件の引き渡し
重要事項説明後は買主の支払いを待つだけです。その間にスムーズに家を引き方せるよう家の中の整理を行います。
家具やエアコンなどを残したい場合は買主了承をとり、残置物として引き渡しましょう。基本は室内のものは全て処分するか新居に持って行く必要があります。室内の清掃もしっかりと行ないます。
瑕疵担保責任について
また物件を売却する立場の人間には瑕疵担保責任があります。物件売却後の問題点(水道管が壊れていたなど)が見つかった場合、誰の責任で修理をするか責任の所在です。
瑕疵があれば重要事項説明時に話す必要がありますが、家にシロアリがいたなど潜在的な瑕疵には気付けないこともあります。
個人が売却する場合、瑕疵担保責任は半年間程度でしょう。また売値を下げる代わりに、瑕疵担保責任は無しという交渉も可能です。個人間売買では買主と売主の間の相談次第であり、瑕疵担保期間が法律で決められているわけでもありません。
カギと書類の引き渡し
買主からの振込があったら鍵と書類を買主に引き渡します。直接自分が引き渡すのではなく不動産会社経由で、買主の入居時に不動産屋から渡すのが一般的です。
売却は短くても3ヶ月、ながければ6ヶ月から1年かかることもあります。傾向として、早めに買主が現れるほうが希望通りの価格で売れることが多いです。
テクニックとなりますが最初は少し高めの価格をつけておき、交渉時に少し下げれば相手に好印象を与えられ、買ってもらいやすくなります。